#2 妻が糖尿になりまして
原因
日本産婦人科学会のホームページによると、妻のかかった「妊娠糖尿病」になってしまう頻度は、7~9%だと明記されてます。やはり、遺伝的な要素は大きいのではないかと思います。
そして、その次に、驚くべきデータが書いてありました。
産後3年~15年を経過した方を調査したところ、妊娠糖尿病と診断された方の47%が、糖尿病、もしくは、糖代謝異常と診断されているそうです。
まじか!驚きました。糖尿病になりやすいから気をつけてね~ぐらいの軽い忠告程度に考えていました。確率は約2分の1じゃないの~
このデータをもっと早く知っておけば、違っていたのでしょうか。妻にも言った事があります。
「もっと、気をつけて生活した方がよかったかもな」
すると即答です。
「自分の身体に気を使うほど余裕がなかったんじゃ! ボケ!」
私は黙るしかありません。その原因は私の転勤にあったのです。
栄転の落とし穴
10年前、私はある東北の片田舎から、栄転という形である県に転勤する事になりました。その時、妻と私には子供が生まれ、ちょうど2歳の誕生日を迎える直前でした。それまでは、近所に妻の両親がいましたので、妻のおかあさんにちょっと子供を見ていてもらったり、夕飯のおかずをもらったりできたので、それなりに普通に育児を楽しめていました。
しかし、今後の出世の為に、大きい都市での営業経験を積むようにと、実家から600km以上離れた土地に転勤になったのです。
そこで、始まったのが、絵に描いたようなワンオペ育児です。
ワンオペ育児とは
「ワンオペ」とは、「ワンオペレーション」の略で、一人で仕事をこなすという和製英語です。
つまり、夫婦のどちらかに育児の負担が極端にかかってしまっている育児の事を、「ワンオペ育児」と呼ぶそうなのです。
転勤という状況の中、実家にたよる事が出来ない。その上、私は仕事の成果を出さなければならないプレッシャーで、家の事が目に入りませんでした。
そして、子供の2歳の「イヤイヤ期」とよばれる、なかなか思うように家事が進められない状況だったのです。
妻は知らない土地で友達もいない。頼れるのは私一人だったのです。2人で地域のサポートセンターに相談に行った事もありますが、私の薄給では頼む事が出来ませんでした。
そのころからでしょうか。よく言われます。
「忙しいなら、せめて金持ってこい! 忙しくて金もないなら離婚しろ!」
もう何万回も言われています。
とにかく、子供と毎日2人きりで、お風呂に入れるのも一苦労だったそうで、しかも、子供がよく夜に吐くくせがあり、泣きながらシーツを交換したという話しです。
私は、帰宅は深夜1時頃で、朝8時半出勤だったので、ほとんど顔も見ていませんでした。今考える完全なとブラックですね。
妻は言います。
「必死すぎて、その時の記憶がない」
恐ろしい言葉です。ワンオペ育児に悩んでいる方は全国に沢山いるでしょう。そして、その人たちは、誰かに相談しているかもしれません。そして、こう言われます。
「育児は、たよってもいいんですよ。みんなでするのが育児です。一人で抱えこまないで下さい」
と。しかし、妻は言います。
「やれるもんなら、とっくにやっとるわ! 金もない、実家もない、周りに友達がいない時は、だれにたよれっていうんだよ。答えろよ!カウンセラーさんよぉ~」
完全にやさぐれてます。
自分の健康管理なんか考えている暇がないとは、この事です。
そして、そのストレスは相当なものでしょう。
その頃、もう一つのストレス要因が出来ます。
知らない土地でのママ友問題
もともと妻は、友達とワイワイするのが好きなタイプで、実家の近くに住んでいた時も、自分の昔からの友達を呼んで、パーティをしたりするのが大好きでした。
そこで、妻も頑張りました。公園や、公民館でやるような育児サークルに参加したりして仲間を作ろうと努力をはじめました。
しかし、底にも落とし穴がありました。
全くしらない土地で、おろおろする人間は、やさしく声をかけてくれる人を、完全に信用してしまうとう落とし穴です。
地元なら、だいたい土地勘もありますし、地元の友達の情報などもあるでしょう。でも、何もわからないと、声をかけてくれた人を信じるしかありません。その人が、どういう人なのかもわからないままに。
妻は公園で知り合ったママ友と仲良くなり、友達が出来たと喜んでいました。私以外の話し相手が出来た事は、とても大きな事でした。しばらくして、以前やっていたように家でホームパーティをして、もっと仲良くなりたいと妻は思いました。そして、私のいない平日にランチ会と称して、忙しい中、寝ないで作った料理をママ友に振る舞う事にしたのです。
そこで、事件が起きます。
最初は楽しく、食事をしてたのですが、食事も終わり子供達が別の部屋で遊び始め、親が後かたづけをしていた時、相手の子供が泣き始めました。
「○○ちゃんが、殴った~」
おそらく、おもちゃの取り合いにでもなったのかも知れない。私の子供の方が、自分のお気に入りのおもちゃで遊ばれておもわず手が出たのかもしれません。
「だめだよ! ごめんなさいしなさい!」
妻はあわてて言いました。しかし、時すでに遅し。普通ならそんな事あたりまえの事ですので、
「いいよ、いいよ~」ぐらいで済ますでしょう。
でもそのママ友は違いました。いきなり怒りだし、帰ってしまいました。
そして、その日から、公園に行っても妻に近づくママがいなくなりました。
やさしく声をかけてきたママは、いわゆるモンスターピアレントだったのです。
そのモンスターは、うちの子は乱暴な子だから近づかない方がいいと、公園で言いふらし、ネットでも拡散されてしまったのです。
知らない土地では逃げ場がありません。昔からの友達も、同級生もいません。
完全孤立です。そして、さらなるストレス要因が妻を襲います。
つづく